『カントはこう考えた』

カントはこう考えた―人はなぜ「なぜ」と問うのか (ちくま学芸文庫)

カントはこう考えた―人はなぜ「なぜ」と問うのか (ちくま学芸文庫)

第1章 理性とはどんな能力だろうか

 ・「理性」と聞いて――わが国と欧米との比較 ・理性と理由――理性の「理」は理由の「理」――本書のキーワード ・理性は直接には認識できないものを間接的に認識する ・理性は完全を求めて極限に迫る ・理性は絶対を求め、「理念」を生みだす ・理性は石をコントロールし、決定する ・極限のパラドックス

第2章 理性が破綻する

 〜・恐るべき帰結――世界それ自体は存在しない!〜

第3章 理性の世紀――理性の謳歌

 ・森羅万象にはすべてしかるべき理由がある――ライプニッツの「十分な理由の法則」 ・もう一つの理性的原理 ・アカデミー界の帝王――ヴォルフ ・あらゆる超自然に対する挑戦――自然(の)法 ・理性の世紀の意外な裏面史 ・異文化理解 〜・魂の不滅を証明する ・神の存在を証明する ・宗教も例外ではない――レッシング=メンデルスゾーンの普遍的理性

第4章 理性の限界――理性の悲歌(エレジー)?

 ・理由の法則への三様の問い ・ヒューム図式 ・カントの根源的問いを問い直す――「なぜ『なぜ』なのか?」 ・理性批判への意外な出発点 ・決定論者カント ・リアリスト・カント ・直径を持たないと物の究極エレメントでない――物理的単子論 ・再びサンタクロースの袋 ・決定論と自由意志論 ・再びヒュームの言い分 ・根掘り葉掘りするカント ・サンタクロースの袋にないもの ・「風が吹けば桶屋がもうかる」

第5章 理性の起死回生

 ・時間・空間は主観の形式――世界の存在をめぐるアンチノミーの解決〜

第6章 「なぜ・なぜならば」の極限としての自由――起死回生(その二)

 ・自由と自然因果をめぐるアンチノミーの解決 ・自然の因果性のベース――時間 ・時間を超えたもう一つの因果性――自由 ・自然の因果性と自由は共存する ・〜 ・人間に目が二つあることの効用――多元論 ・「すべての〜は」という言明の落とし穴 ・自由意志論を可能にする決定論――決定論者カントの面目 ・二種類の意思決定 ・〜

おわりに――「人間は理性的動物である」の真の意味

単行本の方を読了。2009年にちくま学芸文庫に入っている。前著『カント入門』のアンチノミーのところを抜き出して平明に解説したもの。例によって「どんなに平明に解説されても分かった気がしない哲学のお話」のパターンだ。きっと著者はきちんとわかりやすく書いてくれたのだろうに、ごめんなさい。理性万歳の時代→理性ダメかもアンチノミーとかやらかして!→でも理性は頑張るぜ、理性大事! 
アプリオリは先天的とか訳しちゃいかんぜよ、アプリオリな認識も経験をきっかけにして発動するんだからな! というような翻訳に関する批判がちょこちょこあったり。
スピノザとかヘーゲルは極端なこと言っててアブナイぞ! ライプニッツはなかなかいいこと言ってるぞ、という話もあったかな。 
あと、無限と無限定・不定の違いがいまひとつ理解できません。